Yamada Takayuki News - 山田孝之

Saturday, February 11, 2006

冬の連ドラ どれがお薦め? 記者座談会(上)

 ドラマファン待望の季節到来。今週と来週は、恒例の冬の連続ドラマ初回試写記者座談会をお届けします。ようやく低迷期を脱した感のあるドラマ界。高視聴率で発進した作品も見られ、今期も期待は十分。さて、記者らの判定は?

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作りがチャチまるでコント

  香取慎吾主演の「西遊記」が初回29%を記録するなど、盛り上がっているけど、初参加「清」君はどうだった?

  期待が大きかっただけにがっかり。日本テレビのマチャアキ(堺正章)版が好きだったから、どうしても比べてしまう。セットとあからさまに分かる撮り方もビックリ。コントかと思った。

  日テレ版を意識しすぎたのか、「人間ドラマ」になってしまった。本来は中国の古典で、SFホラー的要素があるはずだが。

  ずばり「お子様カレー」。香取慎吾の力みも疲れますよ!

  堺版と比較されるのはやむを得ない。CG使って、めちゃくちゃ遊んでほしい!

  私の好きなミッチー及川光博をはじめ、ゲストのコスプレは楽しいけど、顔ぶれが派手な分、余計にチャチに見えちゃう。同じく「喰いタン」も、コントと見まごう緩さだった。

  探偵事務所の美術を見ただけで嫌な予感がした。リアリティーが全くない。ほめようがない。

  10代ターゲットとはいえ、殺人現場で、証拠品のすしをその場で食らうバカがどこにいる? そんな設定は中学生だっておかしいと思うよ。

  そうですかぁ? 金のマイはしを、侍さながらの所作で操る東山紀之に笑いました。はしを日本刀に見立てた大げささで全編を覆う。普通ならくどく陳腐になるけれど、主演がヒガシだからバランスがいい。

  やっぱり、僕は笑えないです。ヒガシのボケに絶妙な突っ込み入れる人がいればいいんだけど、その辺の間やテンポが物足りない。何より、すしの握り方の違いだけで、殺人事件を解決するという安易さにはビックリ。

  「アンフェア」は、パワフルなヒロインを演じた篠原涼子に★★★。物語そのものは突っ込みどころがあるが、スピーディーな展開、阿部サダヲらいぶし銀の脇役が心地良い。

  篠原の大胆な露出も見どころです。

  ミステリーとして面白いが、私生活に無頓着だが検挙率No.1という人物設定は、現実味がなく、陳腐。

  背景などを説明せずに進行していくのは、制作側の独りよがりのようにも思えますが……。

  確かに視聴者を突き放した作りだけど、それ故に、軸となる殺人事件や、ヒロインの父の死の謎も興味をそそる。でも、財前直見が女性刑事を演じたTBS「QUIZ」を思い出す。

したたかな女今後が楽しみ

  「けものみち」は、米倉涼子のヒロインの抱える閉塞(へいそく)感、そこからの解放を望む切なる気持ち、女のしたたかさが存分に描かれ、2話目が見たくなった。

  布団の上で米倉をコマのように回転させる平幹二朗など、狂気の所業が相次ぎ、見る者を歓喜に誘う。私も平になりたい!

  女中頭の若村麻由美も何とも不気味で面白い。そのノリノリな部分に今後の展開の楽しさがのぞく。

一輝の魅力にノックダウン

  「夜王」は、私の中の乙女な部分がビビーンと反応しました。ウソだと分かっていても甘く酔わせてしまう。そんなホストクラブの空気感を見事に作り上げている。とりわけ北村一輝サマの怪しい魅力にノックダウンされました。

  さすが妻子持ち自称乙女! 女心に敏感。

  でも、サクセスストーリーとしては陳腐だよ。

ほっとできる小林の演技力

  「神はサイコロを振らない」は、俳優陣が楽しんでいる雰囲気が伝わってきて好感を持てました。

  ただ、デッチ上げでもいいから、飛行機が突如消え、10年後に現れる原因となったマイクロブラックホールの説明をもう少し加えるのが筋。物語の核となる部分なんだし、それっぽく見せるべきだ。

  小林聡美の演技力で、テーマを重く感じすぎることなく、ほっとできたり、涙できたりした。岸部一徳の嫌な上司もいい。ホント冷たい目。背筋が伸びます。

  なにー? もっといたぶってやろうか?

  やめて下さいよー。

  「旗」さーん、僕も仲間に入れてください――。

  男3人じゃれ合う支局先輩後輩トリオはおいて以下、来週!

 「冬ドラマ 私のイチオシ」も引き続き募集しています!

2006年1月26日 読売新聞